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東京地方裁判所 平成7年(ワ)5426号 判決 1997年8月29日

第一事件原告

孟广祥

被告

東京海上火災保険株式会社

ほか一名

第二事件原告

学校法人東京女子醫科大学

被告

孟广洋

主文

一  第一事件被告小池正之は、第一事件原告兼第二事件被告孟广祥に対し、二二七万一〇五〇円及びこれに対する平成五年九月二一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  第一事件被告東京海上火災保険株式会社は、第一事件原告兼第二事件被告孟广祥の第一事件被告小池正之に対する判決が確定したときは、第一事件原告兼第二事件被告孟广祥に対し二二七万一〇五〇円及びこれに対する平成五年九月二一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  第一事件原告兼第二事件被告孟广祥は、第二事件原告学校法人東京女子醫科大学に対し三九三万七九八〇円及びこれに対する平成七年五月二〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

四  第一事件原告兼第二事件被告孟广祥及び第二事件原告学校法人東京女子醫科大学のその余の請求を棄却する。

五  訴訟費用は、第一事件原告兼第二事件被告孟广祥と第一事件被告小池正之及び第一事件被告東京海上火災保険株式会社との間においては、第一事件原告兼第二事件被告孟广祥に生じた費用の五分の四と第一事件被告小池正之及び第一事件被告東京海上火災保険株式会社に生じた費用の五分の四を、第一事件原告兼第二事件被告孟广祥の負担とし、その余は第一事件被告小池正之及び第一事件被告東京海上火災保険株式会社の負担とし、第一事件原告兼第二事件被告孟广祥と第二事件原告学校法人東京女子醫科大学との間においては、全部第一事件原告兼第二事件被告孟广祥の負担とする。

六  この判決は第一項に限り仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

一  第一事件

1  第一事件被告小池正之(被告小池)は、第一事件原告兼第二事件被告孟广祥(原告孟)に対し、二〇〇〇万円及びこれに対する平成五年九月二一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

2  第一事件被告東京海上火災保険株式会社(被告東京海上)は、原告孟の被告小池に対する判決が確定したときは、原告孟に対し二〇〇〇万円及びこれに対する平成五年九月二一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  第二事件

原告孟は、第二事件原告学校法人東京女子醫科大学(原告東京女子医大)に対し三九三万七九八〇円及びこれに対する平成五年一〇月三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

一  争いのない事実

1  本件事故

(一) 日時 平成五年九月二一日午前四時三〇分ころ

(二) 場所 東京都中野区野方六丁目三七番一号先路上

(三) 加害車 被告小池運転の普通貨物自動車

(四) 被害者 原告孟

2  損害のてん補

自賠責保険金二二四万円

被告小池から三二〇万五〇九二円

3  責任

被告小池には民法七〇九条の不法行為責任がある。

被告東京海上は被告小池と自動車保険契約を締結しており、本件事故はその保険期間中の事故である。

4  準委任契約の締結

原告孟と原告東京女子医大は、原告孟の本件事故による骨盤骨折、直腸裂傷、尿道断裂等の傷害の治療につき自由診療契約を締結した。

二  争点

1  事故態様、過失相殺

(一) 被告小池、被告東京海上

原告孟は午前四時三〇分ころという時間帯に本件事故現場の車道上に飲酒して横臥していたため、本件事故が発生した。原告孟の過失は重大であり、少なくとも五〇パーセントの過失相殺をすべきである。

(二) 原告孟

原告孟が横臥していたことはない。仮にそうであっても、本件事故現場が住宅街であること、被告小池が制限速度を大幅に超えて走行していたことを考慮すると三〇パーセントを超える過失相殺は不当である。

2  損害

(一) 原告孟

(1) 別紙損害計算書のとおり

(2) 休業損害

原告孟は本件事故時まで、解体業の仕事に従事しており、収入は一日当たり一万五〇〇〇円であった。

(3) 逸失利益

インポテンツは後遺障害等級九級に該当し、原告孟の後遺障害等級は骨盤の変形などと併合して八級となるから、労働能力喪失率は四五パーセントである。

本件事故後五年間は日本において稼働できたもので、その間は日本における収入を基礎とし、その後は原告の住所地である中華人民共和国の上海における収入を基礎として算定する。

上海の平均収入は一万〇五七二元であり、これを円に換算すると年一二万八八七二円となる。

(4) 慰謝料

日本人と同一に考えるべきである。

(5) 東京女子医大の治療費

後記3(二)のとおり

(二) 被告小池、被告東京海上

(1) 休業損害

原告孟は本件事故の半年前から失業中であり、休業損害は認められない。

(2) 逸失利益

原告孟のインポテンツは一四級に該当し、原告孟の後遺障害等級は骨盤の変形と併合して一二級となるから、労働能力喪失率は一四パーセントである。

原告孟は平成元年七月二四日で在留期限が切れ、本件事故当時は不法残留中であり、その後不法残留で逮捕され、母国である中華人民共和国に強制送還されている。したがって、原告孟の逸失利益の算出に当たっては中国の賃金水準を基準とすべきである。

平成六年の中国における平均年収は五万六三三二円であり、労働能力喪失率一四パーセント、労働能力喪失期間三二年としてその間の中間利息を控除して逸失利益を算定すると一二万四六二六円となる。

(3) 慰謝料

慰謝料の算定に当たっては、日本と中国との物価水準、賃金水準の違いが考慮されるべきである。

(4) 東京女子医大の治療費

一点単価を一〇円とし診療報酬点数表の点数にこれを乗じて診療報酬額を算定する健康保険法の診療報酬体系は、中央社会保険医療協議会の答申に基づくものである。手続上、診療報酬に利害関係を有する各界の意見及び公益を十分反映させ、その調和を図りつつ公正妥当な診療報酬が定められている。これが定められた昭和三三年から度々改定が行われ現在に至っている。このような診療報酬体系の成立手続、その成立から現在までの推移、診療報酬算定の現状から、右診療報酬体系は一般の診療報酬算定の基準として合理性を有しており、健康保険診療のみならず、自由診療においても基準とされるべきであり、患者が健康保険に加入していない場合も同様である。交通事故の場合の診療につき、自由診療との理由で制限なしに健康保険基準の数倍という診療報酬は許されるものではない。交通事故による救急車の出動割合は昭和五七年度で二二・五パーセントであり、全体の四分の一弱に過ぎない交通事故による救急患者が、救急患者全体のための救急医療体制の費用を負担しなければならないというのは不公平かつ不合理である。したがって、東京女子医大の治療費についても一点単価一〇円の健康保険基準によるべきであり、それを超える部分に付いては損害賠償の対象とされるべきではない。

(5) 既払

既払の合計は九五五万三九三二円である。

3  治療費

(一) 原告東京女子医大

原告孟は本件事故当時不法残留中の中国人であり、健康保険には加入していなかった。

原告孟は本件事故により救急車で、原告東京女子医大の救命救急センターに搬送された。原告孟の傷害は骨盤開放骨折、尿道断裂、直腸裂傷等により全治六か月を要するという重篤なものであった。右傷害に対し即日尿道形成術、膀胱瘻造設術、人工肛門造設術、右股関節形成術が施行された。これらの手術はいずれも複雑かつ高度な医療技術を要するものであった。

本件は明け方突発的に発生し、原告孟の傷害は緊急かつ高度な治療を必要とするものであり、設備及び人材の整った原告東京女子医大だからこそ対応できたものである。原告孟の入院期間は一一日開であったが、原告東京女子医大は救急医療として必要かつ十分な治療を行ったのであり、濃厚・過剰診療といったことはない。

(二) 原告孟

原告孟と原告東京女子医大は自由診療契約を締結しているが、診療報酬額を定めておらず、それは合理的意思解釈の問題である。

健康保険を利用した場合、厚生省告示によって一点の単価を一〇円とすると定められており、この算定方法は合理的なものである。

市民は保険医療機関であればどこの医療機関でも同様の治療費で療養を受けられるのであり、そのような期待は交通事故による救急医療の場合にも市民は有している。この期待を保護するという観点から本件においても健康保険を利用したのと同様の診療報酬額とすべきである。また、交通事故の被害者は医療機関を選択する余地がないまま救急車で医療機関に搬入されるのであり、医療機関の一方的意思表示によって自由に診療報酬を決定することは許されないというべきである。

第三当裁判所の判断

一  争点1

1  証拠(甲一、一〇、一五の2)中には、原告孟が歩行中本件事故にあった旨の記載があるが、他方、証拠(甲一三の9、乙一、丙三の2、3、5)中には、原告孟が路上に横たわっていた旨の記載がある。

そこで検討すると、原告孟は、甲一〇号証では、会社に行くためアパートを出て一方通行の細い道路を歩いていたとするが、甲一五号証の2では、本件事故前日新宿で友人と会い、事故当日の午前四時ころ別れ、タクシーで帰宅した、西武新宿線の交差点でタクシーを降り、家まで歩いた、自宅からそんなに離れていない場所で車とぶつかったというのであり、事実に相違があり、原告孟の供述を直ちに採用することはできない。

また、証拠(甲二、丙三の1、5、乙一)によると、原告孟の傷害が、骨盤解放骨折、尿道断裂、直腸裂傷などであり、頭部の外傷はなく、傷害が腹部付近に限定されること、原告孟は飲酒していたこと、歩行者との衝突であれば車両に通常生ずる損傷が、加害車両にはなかったことが認められ、これらの事実は原告孟が路上に横たわっていたことを示唆している。

そうすると、本件事故時原告孟は車道上に横たわっていたと認めるのが相当である。

2  そして、証拠(甲一、乙一)によると、本件事故現場は新青梅街道から環七通りに至る、左右に一・二メートルと一・三メートルの路側帯のある幅五・二メートルの道路であること、本件道路は舗装された一方通行の道路で、市街地にあること、周辺の明暗は街路灯が本件事故現場付近に設置され明るい道路であること、被告小池からの見通しは衝突地点から約五四メートル手前までほぼ直線で前方は見やすかったこと、被告小池は原告孟を五・二五メートル手前で初めて発見しており、著しい前方不注視があること、本件事故は午前四時三〇分ころ発生していることの各事実が認められる。

以上の事実を勘案すると、原告孟の過失を二五パーセントとするのが相当である。

二  争点2

1  治療費

(一) 東京女子医大分(後記認定のとおり)

三九三万七九八〇円

(二) 牛久愛和総合病院分(乙四)

三八二万二八〇五円

(三) 東邦大学医学部付属大森病院分(乙四)

七万五九〇〇円

(四) その他(弁論の全趣旨)

七万六六三二円

2  入院付添費

証拠(甲六、丙一)によると、原告孟は本件事故により骨盤解放骨折、尿道断裂、直腸裂傷等の傷害を受け、東京女子医大病院救急医療科に平成五年九月二一日から同年一〇月一日まで、牛久愛和総合病院に同日から平成六年二月七日まで合計一四〇日間入院したことが認められ、その傷害の部位、程度からすると、右入院中付添いを必要としたものと認められる。そして、その費用としては一日当たり六〇〇〇円が相当であり、合計は八四万円となる。

3  入院雑費

入院雑費としては二六万〇一三五円が支払われており(弁論の全趣旨)、右額を損害と認める。

4  通院付添費

証拠(甲四、七)によると、原告孟は東邦大学医学部付属大森病院に二日間、東京女子医大病院整形外科に四日間通院したことが認められるが、原告孟の後遺障害は、骨盤変形、インポテンツであり、通院に付添いが必要とは認められない。

5  通院交通費

通院交通費としては六万一六六〇円が支払われており(弁論の全越旨)、右額を損害と認める。

6  休業損害

証拠(甲四、一〇、一四)によると、原告孟は本件事故当時、東京都葛飾区の株式会社東甲斐興業に勤務して、建物解体の仕事に従事し、一か月当たり約三〇万円(一日当たりにすると一万円)の収入があったことが認められる。

そして、原告孟の症状は平成六年四月三〇日に固定したと認められるから、本件事故から同日までを休業期間とすると二二二日間となり、休業損害は二二二万円となる。

7  逸失利益

(一) 原告孟は一九五八年(昭和三三年)八月一六日生まれの中国人男性であり(丙三の1)、症状固定時である平成六年四月三〇日(甲四)の時点で三五歳であり、その後三二年間は稼働が可能であると認められる。

(二) 原告孟の後遣症は、骨盤骨折に伴う骨盤の変形によって自賠法施行令二条別表の後遺障害等級一二級五号に該当し、骨盤骨折に伴うインポテンツにより自賠法施行令二条別表の後遺障害等級一四級一〇号に該当し、併合等級一二級であると認められる(甲四ないし七、乙二、三)。

なお、原告孟はインポテンツが自賠法施行令二条別表の後遺障害等級九級に該当する旨主張するが、自賠責保険の後遺障害認定が準用する労災保険の後遺障害認定においては、九級に該当する場合を陰茎の大部分の欠損の場合としている(乙七)。これに対し原告孟のインポテンツの原因は神経障害によるものであり(甲七、一二の1ないし3、一三の1ないし11)、原告孟の主張は理由がない。

(三) 原告孟は昭和六三年七月八日に来日した中国人で、平成元年七月二四日には在留期限が切れ不法残留状態になり、平成六年四月一五日に出入国管理及び難民認定法違反容疑で逮捕され(甲一〇、一一)、現在は中国に帰国していること(弁論の全趣旨)が認められる。そうすると、原告孟は症状固定前に日本に現実に在留できなくなり、就労の可能性もなくなったものであり、このような場合の逸失利益算定の基礎収入は、原告孟の本国である中国における収入を基礎とするのが相当である。

中国における収入につき、原告孟は甲一六号証を根拠に一年間に日本円で一二万八八七二円であると主張し、被告小池、被告東京海上は乙五号証を根拠に一年間に日本円で五万六三三三円であると主張するが、いずれの資料もその的確さに優劣はなく、その単純平均値である九万二六〇〇円を原告孟の一年間の収入として逸失利益を算出するのが相当と認める。

(四) 右によりライプニッツ方式により三二年間の中間利息を控除して原告孟の逸失利益を算出すると、二〇万四八六四円となる。

8  慰謝料

(一) 傷害部分

前記認定のとおり、原告孟は本件事故により一四〇日間入院し、合計六日間通院したことが認められる。そして、原告孟の年齢、職業、その他本件に顕れた事情を考慮するとその慰謝料としては二〇〇万円が相当である。

(二) 後遺障害部分

原告孟は本件事故により、骨盤骨折に伴う骨盤の変形によって後遺障害等級一二級に該当し、骨盤骨折に伴うインポテンツにより後遺障害等級一四級に該当し、併合等級一二級であること、原告孟が現在は中国に帰国していること、その他本件に顕れた事情を考慮するとその慰謝料としては二〇〇万円が相当である。

9  小計

以上の合計は一五四九万九九七六円となり、過失相殺として二五パーセントを控除すると一一六二万四九八二円となる。

そして、既払額は争いのない自賠責保険金二二四万円、乙四号証により認められる七三一万三九三二円の合計九五五万三九三二円であり、これを控除すると二〇七万一〇五〇円となる。

10  弁護士費用

原告孟が本件訴訟の提起、遂行を原告代理人に委任したことは当裁判所に顕著であるところ、本件事案の内容、審理経緯及び認容額等の諸事情に鑑みると、原告孟の本件訴訟遂行に要した弁護士費用は、原告孟に二〇万円を認めるのが相当である。

11  合計

以上の合計は二二七万一〇五〇円となる。

三  争点3

1  原告孟と原告東京女子医大は、原告孟の本件事故による骨盤骨折、直腸裂傷、尿道断裂等の傷害の治療につき自由診療契約を締結した(争いがない)が、原告孟は日本での在留期限が切れ、国民健康保険の利用ができなかった(丙三の5)。

2  原告孟、被告小池、被告東京海上は、健康保険の診療報酬基準が、自由診療においても当然適用されるべきであると主張するが、健康保険診療と自由診療の相違を考慮しないものであって理由がない。

そして、原告孟については健康保険の利用ができないのであり、本件においては自由診療における治療費の相当性の観点からこれを検討する。

3  証拠(甲二、三、丙一、二の1ないし3、三の1ないし5)によると次の事実が認められる。

(一) 原告孟は本件事故により、救急車で原告東京女子医大の救命救急センターに運ばれた。原告孟が搬送された当時、その意識レベルは低下しており、検査中に血圧が七〇台にまで低下した。レントゲン写真撮影、CT検査により骨盤解放骨折と診断され、腹部エコー検査で後腹膜の出血が疑われ、集中治療室に入院した。検査と並行して点滴と輸血が行われた。その後、膀胱直腸障害が認められ、導尿を施行したが管(カテーテル)が挿入できなかった。

(二) 原告孟の骨盤解放骨折、尿道断裂、直腸裂傷に対し、平成五年九月二一日午後二時五分から午後七時五〇分まで五時間四五分の時間をかけた手術が行われた。骨盤解放骨折に対しプレート固定、尿道断裂に対し尿道形成術(後部尿道)、膀胱瘻造設術、直腸裂傷に対し人工肛門造設術がそれぞれ行われた。

(三) 同月二四日、原告孟は集中治療室から救命救急センター病棟に移され、同年一〇月一日にはリハビリ目的で牛久愛和総合病院に転送となった。

4  右事実によると、原告孟が原告東京女子医大の救命救急センターに搬送された時点での全身状態は重篤で緊急を要する状況にあり、レントゲン写真撮影などにより骨盤解放骨折等の診断がされた後に、直ちに集中治療室で全身管理が行われている。その後、速やかに手術も行われ、手術から三日目には集中治療室から救命救急センター病棟に移り、本件事故から一一日目にはリハビリ目的で他院に転送されており、適切な治療が行われたことが窺われる。

このように重篤な状態にあり緊急な治療が求められた原告孟に対し、適切な治療が施され、一一日間という比較的短期間に退院していることを考慮すると、本件においては、一点単価二五点で計算した原告東京女子医大の治療費の請求を不当に高額ということはできない。

なお、本件自由診療契約は準委任契約と解されるところ、その治療費は期限の定めのない債務であり、原告東京女子医大が請求したと認められる平成七年五月一九日の翌日から遅滞に陥るものと認めるのが相当である。

四  まとめ

1  原告孟の被告小池に対する請求は、二二七万一〇五〇円及びこれに対する本件事故日である平成五年九月二一日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金を求める限度で理由があるから認容し、その余の請求は理由がないから棄却する。

2  原告孟の被告東京海上に対する請求は、原告孟の被告小池に対する判決が確定したときは、二二七万一〇五〇円及びこれに対する本件事故日である平成五年九月二一日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金を求める限度で理由があるから認容し、その余の請求は理由がないから棄却する。

3  原告東京女子医大の原告孟に対する請求は、三九三万七九八〇円及びこれに対する請求の日の翌日である平成七年五月二〇日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金を求める限度で理由があるから認容し、その余の請求は理由がないから棄却する。

(裁判官 竹内純一)

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